あめのした

雑記帖

近況 +「君の名前で僕を呼んで」感想

 お久しぶりです(わぁこれ毎回言ってる気がする~)

 このブログを始めた目的は確か文章力向上であったが、最近noteを始めてからついそちらに書くことが増えた。そのためブログの更新がおざなりになっていた。

 どちらのコンテンツも自由度が高いため、使い分けが難しいところではあるが、これからはこちらのブログは鑑賞した作品や読んだ本の感想をメインにしようかと思う。今はそう思っていても、おそらく一年とたたないうちに気が変わると思うが。

 さて、自分は普段あまり映画を見ないほうである。コロナ以前は映画好きの友人に誘われて映画館に行くこともあったが最近はご無沙汰である。しかし先日、Twitterである作品がPrime videoのセール対象になっているとの情報を得た。前々から話には聞いており気になっていた作品だったのですぐにレンタルして観た。Prime会員であるにも関わらず、ほとんどPrime videoを使用していなかったので知らなかったが、レンタルすると以後30日の間いつでも視聴を開始でき、一旦視聴を開始してから48時間の間自由に再生できるというシステムであった。私は映像作品を見るのが得意ではなく、(好き嫌いではなく能力の話である)一度に長い作品を鑑賞すると疲れてしまうのでこのシステムはありがたかった。実際3回に分けて観た。

 さて、その作品とは「君の名前で僕を呼んで」である。洋画のタイトルの邦訳と言えば原題の雰囲気を損ねていることで名高い(と思っているのは私だけかもしれない)が、このタイトルはなかなか粋だと思った。なお原題は”Call me by your name"である。直訳であった。

 この作品のストーリーを一言で表すと、「ひと夏の恋」である。北イタリアのどこかにある避暑地で、初めから夏が終われば別れなければならない恋だと分かりながらも互いに惹かれ合い、互いを求める主人公二人がたまらなく美しく、切ない物語であった。私が恋愛の機微に疎いせいかもしれないが、あとから知ったところ私が思っていたよりずっと早い段階から二人は惹かれ合っていたらしい。

 そして、何よりも私をこの作品へと惹きつけたのは、画面構成の美しさと数々のモチーフの緻密なちりばめ方である。オリヴァーがエリオの父親の「試験」を受けるシーン、二人が並んで自転車をこぐシーン、エリオがアプリコットを持っているシーン、オリヴァーが電車に乗って旅立つシーン……。そのどれもが絵画のように完成された色彩と構図のバランスを持っていた。鏡への映り込みや周りに置かれたものもよく計算されているのだろうなという印象を受けた。そして、作中には父親の研究対象である彫刻やエリオの趣味であるクラシック音楽などが繰り返し登場する。また、これはこの映画の難しいところでもあるが、エリオはトリリンガルであり、英語、フランス語、イタリア語を巧みに使い分けている。なかでも凝っているなと思ったのは、エリオがガールフレンドと話すときにはフランス語を、オリヴァーと話すときには英語を使っていたところだ。このことにより、エリオのオリヴァーとのひと夏の恋は日常から切り離されたものとして描かれている、という印象を受けた。

 まだ語り足りないがネタバレをしすぎるのもよくないと思うので、このあたりでやめておきたい。フランス語のリスニング能力が向上したら(そんな日がくるのだろうか?)また見返したい映画であった。